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(43)カレーとチャイの日々・・・

マスタード(菜の花)畑が一面に広がる、まっすぐ伸びた一本道には、
街路樹(マフワ)が途切れることなく続いている。
時折、ターバンやサリーを身に着けた人々・犬・牛・ヤギ・そしてラクダまでもが姿を現し、
眺める僕を、飽きさせる事がない。
これは、インドの北西部、カジュラホからジャンシーへ向かう、車窓から見た風景である。

インド・・・・・
神々と信仰、喧騒と貧困、
ガンジス河、沐浴、インド象、へび使い、そして「踊るマハラジャ」
・・・僕のもっていたインドのイメージ。
「インドは、ハマる人とそうでない人がいる」、そんな話を聞いたことがあった。
「自分はどっちだろう・・・?」
そんな事を思っているうちに、本場のカレーが食べたくなった。
そうだ、インド行こう!

1日目 エアーインディアにて空路デリー
お昼に成田を出発し、バンコクを経由してデリーまで、約8時間半の旅。
それほどキレイな機内とは言えないが、
スチュワーデスの気配りも行き届き、機内食のカレーもなかなか。
30分遅れで、デリーに着く。
ガイドのスニールは、この日スーツ姿で現れた。

2日目
さわやかに晴れ渡ったインドの初日、デリーの市内観光から始まった。
     クトゥブ・ミーナール  フマユーン廟
  
           ガイドのスニール 
      インドに着いて初めて食べる本場のカレー「ん、うまい!」







市内の移動は専用車で

運ちゃん(スニールが彼のことをこう呼ぶ)はとってもやさしそうでも運転の腕前は抜群!

交通ルールなど、無いのも同じ。車、リクシャー、人、動物(牛や犬)がひしめく道路を、
運転手は器用にすり抜けて行く。

ラクシュミナラヤン寺院 ラージ・ガート(ガンジーの火葬場

この他、インド門レッド・フォートを見学したり、土産物やでチャイをご馳走になるなど、
充実した時間を過ごせたかに思えたのだが・・・

この日ベナレスに向かう夜7時発の夜行寝台列車の到着が遅れ、
翌朝の5時に変更という「インド時間」の最初の洗礼を受けることになる。
大幅な遅れに辟易しながらも、やむなくニューデリーにもう一泊。
しかし、悪いことばかりではない。
この日の夕食にと、偶然入ったホテルの近くの「mughal mahal」というレストランは最高!
カレーだけでなく何を食べても、激ウマ!
特に海老を使った料理、旨かったな〜、何ていう名前なんだろう・・・?

3日目 
早朝3時に起きて、再び駅へ向かう。
駅には構内だろうが、ホームだろうが、待合室だろうが、
昨日から列車を待ち、一夜を明かしたのだろうと思われる現地の人々が、
毛布に包まって、ひしめき合うように眠っている。
インドといえど夜と明け方は、かなり冷え込む。
「これがインドなんだ・・・」
こんな光景を前に、チャイを飲みながら、列車の到着を待ったが、
結局更に遅れ、9時半頃になってやっと列車は出発した。
本来なら、この日の早朝にはベナレスに着いており、サルナートガンジス河を観光しているはずであったが、
それもはかない夢となり、一日のほとんどの時間を、寝て食べるだけの列車移動となった。
他にする事といえば、スニールと2人でゴキブリ退治することくらい。
寝台車の寝心地は悪く、体の中のあちこちが痛い。











たまごカレー
(ゆで卵が丸々2ケ入っている)
寝台列車はこんな感じ 駅弁もやっぱりカレー!

面白かったのは、隣の車両の日本人団体ツアー客が、
停車駅で生きた鶏を買い、列車のコックに調理させ、チキン・カレーをおすそ分けしてくれた事。
日本ではなかなかできない経験。これもインド流?
ベナレス到着も更に遅れ、翌日の夜中の2時!列車の中で過ごした時間は16時間以上!
・・・さすがにキツかった!

4日目
ベナレス
 ホテルで殆ど休む暇もなく、早朝、ガンジス河の沐浴風景を見学。
 僕にとってはインドでのハイライトのひとつであった。が、
 ガートと呼ばれる階段状の堤付近では、沐浴している人は5・6人程で、
 観光客を乗せたボートばかりがやたらと多く、なんだか期待はずれ。
 僕の想像していたガンガーの神秘さと生命力を、そこに感じる事は出来なかった。
 マニカルニカー・ガート(火葬場)で、炎に包まれる死体を目前に言葉を失う。
 真っ黒に焼けたそれは、人形のようで、まるで現実感がない。
 ビシュナワート寺院の参道は、狭い通りに店がひしめき、暗くて臭い。






こんな狭い参道にも牛が堂々と歩いている
通りは、牛の糞だらけだ


午後、カジュラホへ向かう飛行機は当然のように、2時間遅れた。
(このころはすでに「インド時間」にも慣れ、それを楽しむ余裕も出来ていた。)

ベナレスのどんよりとした空気とは対照的に、カジュラホの気候は実に爽やかだった。
夕刻まじかの到着に寺院巡りを諦め、村を散策することにする。
ちいさな村を回るには、30分もあれば十分。静かでキレイで実に楽しい。
突然現れた日本語の上手いインド人(熊五郎のような・・・)が案内してくれた裏道では、
かわいい子供たちの姿と、庶民の暮らしぶりを垣間見ることができた。
この心地よい出来事は、長旅の疲れを癒してくれた。
            これが熊五郎のディーパック
        カジュラホの子供たちは皆小ぎれいで良い顔をしている。

5日目 快晴。寺院群を巡る。
久しぶりに充分睡眠をとることが出来た為か、気分爽快。
         
                   西群の寺院は迫力も雰囲気もバツグン!

エロチックな彫刻はけっこうリアルだが、何故かユーモラス。
一つ一つの彫刻に意味があり、見ていて飽きない。
もっと時間をかけて巡りたかった。
     楽しくて、つい踊りだしてしまう僕とスニール。

午後、カジュラホから専用車で列車の駅のあるジャンシーへ向かう
「また5時間近くの移動になるのか・・・」という、重たい気持ちは、すぐに吹き飛ばされた。
どこまでも広がるマスタード(菜の花)畑の中を、街路樹に囲まれたのどかな一本道が続き、
路肩を歩くターバンやサリー姿の人々、犬や牛だけでなく、時折ヤギや豚の群れが通り過ぎて行く。
にぎやかな村に着くたびに窓から顔をだし、そこに暮らす人々の生活のにおいに触れる。
車窓から見たこの風景の素晴らしさを、僕はまったく想像していなかった。
          駅のホームに牛。信じられます?!
ジャンシーからアグラへは、列車(EXP)に乗る。
車内サービスは自分で作るチャイ
到着したアグラはすごい霧。明日はタージ・マハル、「明日、天気にな〜れ!」

6日目
アグラでの観光の目玉といえば、やっぱりタージ・マハール。
しかしこの日は昨夜からの濃い霧に包まれたまま。
果たしてその雄姿を拝むことが出来るのか・・・?
霧が晴れる事を願い、先にアグラ城に行くことにする。

アグラ城の内部には宮殿が並び、木立や芝生に野生のリスが動き回っていて楽しい。
晴れていれば、ここからタージ・マハルが水面に浮かぶように見えるらしいのだが・・・
      まだ、霧の残るアグラ城も、なかなかの雰囲気。

奇跡!タージ・マハルについた頃、ウソのように霧が晴れた。
青空にそそり立つタージ・マハルは、まるで絵のように美しい!
左右対象の完璧な白い大理石の姿に圧倒される。
対照的にその内部は、2つの棺があるだけで、暗く寂しい。

タージ・マハルは外から眺めるのが相応しいのだ。 建物に上がるには靴を脱ぐか靴カバーを付ける。

アグラからジャイプール間も車移動。
先のカジュラホからジャンシー間に比べ、景色も荒れていてワイルドな感じ。
      道路には、こんなラクダも。

夜到着したジャイプールでの宿泊は、元大臣公邸の宮殿ホテル、ジャイマハールパレス
ここではひとつマハラジャ気分で、のんびりくつろぐことにする。
夕食は外にでかけず、庭で行われる民族舞踊をみたり、散策したり・・・
この日は、たまたまインドの富豪らしき人々のパーティが行われていて、
それを近くで眺めながら、気分は更にマハラジャ。
ここのホテルのレストランは味はイマイチだが、スタッフはみな感じが良い。
      笑顔がステキなホテルのレストランの女性スタッフ。

7日目
早起きして、ホテル内を散歩していたら、弦楽器を奏でる愛想の良いおじさんが手招き。
上手いのか、下手なのか・・・?

この楽器はラムニータと言うそうだ。 庭にある大きなチェス。 ホテルのスタッフは皆、感じが良い。

ジャイプール郊外にあるアンベール城は、象に乗って。
初めて乗る象の背中は、歩くたびに大きく揺れる。
道の途中で、ふいに動かなくなった象、良く見れば・・・用を足していた。
これには思わず苦笑い。
  こんな感じで  「わーい、楽ちん」

城の内部は美しく、居心地が良い。壁面に鏡をちりばめた、鏡の間は特に見事!
そこから見下ろす事の出来る幾何学模様の庭も素晴らしく、当時の繁栄ぶりが偲ばれる。

鏡の間 帰り道、へび使いのオジさんに出会う!「あっ本物だ!」

ジャイプールの市内へ戻り、シティパレス天文観測所風の宮殿を回る。
ここは、別名ピンクシティとも呼ばれ、町並みがすべてピンク色に統一されている。
観光を早めに切り上げ、バザール(商店街)を徘徊。
観光客の姿はほとんどなく、売られているものは、どの店も安い。
値段交渉をしたり、露天のチャイをのんで一服したり、学校帰りの子供たちに出会ったり、
約2時間ほどであったが、少しだけ素顔にインドに触れられたような気がした。

  風の宮殿。  ジャイプールの子供たち。

スニールの知り合いの店で、退屈しのぎにインチキマジックをしていたら、
いつの間にか、店の従業員が皆集まってきて、取り囲まれてしまった。
インド人もマジック好きなのかな〜?(あの〜、ジャグラーなんですけど・・・)
とりあえず、ダンディ・ポーズでパチリ!

  タージGO 立ち寄った商店で、思わず人気者に!

8日目 
    ホテルの皆さん「さよなら」
                                車の前を走る、トラック。
ラジャスタン州の農村風景を車窓にデリーへ。
着後、みやげ物や紅茶の店に立ち寄ったりしながら空港へ。
最後までやっぱり、出発時間を大幅に遅れて、帰国の途に・・・
9日目の昼前、日本到着。

青空の下、のんびりと名所、旧跡を訪ねるのは、とても楽しかった。
ベナレスのガートや火葬場もそれなりの発見や感慨もあった。
タージ・マハルの美しさに圧倒され、
大きな象に揺られて、城まで登る体験も出来た。
長い間、列車で過ごす羽目になってしまったが、
それゆえに出来た貴重な体験。
駅の構内で、毛布に包まり寝そべっていた人々
田舎道に突然現れた熊使い。
カジュラホやジャイプールの可愛かった子供たち。
車の窓越しに物を乞う、悲しい目をした若い母親。
宮殿ホテルでパーティをする豊かなインド人。
様々な人々や出来事に出会い、体験し、発見し、感じる事が出来た。
今回の旅も、また楽しかった。
「インドにハマったのかな〜?」
いやいや、所詮はツーリスト、
まだまだ、この言葉には当てはまらない様な気がする。

それにしても、良くカレーを食べた。
毎日、毎日、3食・・・
それから、食後や休憩時など、何かにつけて、チャイを飲んだ。
毎日、毎日何杯も・・・
そして、この2つは滞在期間中、全く飽きることがなかった。
「これにはハマったのかな〜?」

そして・・・
不思議なことに、僕の心に一番印象に残ったものは、
田舎道を走る車窓から見た、マスタード畑だった。


2004.2.24

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